十日ほど前、梅干しからソ連軍のスリーピングシャツをもらった。
肩が入らなかったらしい。
ソ連軍スリーピングシャツには秋冬用と春夏用の二種類があるらしい。これは薄手のV字ヘンリーネックなので夏用だと思う。
誰かがデッドストックで購入→梅干し→俺という流れ。
ボタンや生地をみるとそれなりに着られている。
この辺の劣化はいわゆる「味」として理解する。
八分袖くらいで着心地はいい。
しかし生地が薄いせいで透けてしまう。
そこで、黒色に染めることにした。
ヤシャブシ80gと鉄媒染液。
どうせやるならケミカルな染料より自然派の草木染めでいきたいところだ。
ところで後述するが染料であるヤシャブシをケチったのはよくなかった。
ヤシャブシを20分ほど煮て染液をつくる。4回ほどやった。
染液に投入する。どう考えても鍋が小さい。
鉄媒染ではアルミ鍋ではなくステンレスを使うべきらしいが、染色家のブログによるとほぼ誤差らしいのでアルミ鍋で強行した。
ポリ袋に鉄媒染液を入れ、染色したシャツを投下。風呂場にかなり鉄っぽいにおいが充満した。
染色→媒染という過程を二度おこなった。
結果がこれだ。
黒………………?
グレーなのか茶色なのかよくわからない色になった。うんうんこれも味だね。
実物はさらに枯れた感じが強い。東欧の農民感がある。
ちょうど東欧の農民 (概念) になりたかったのでよかった。
染めムラも結構ある。味だね。
正直なところ、「染めた」というより「汚した」に近い質感と「お色味」になった。
しかも洗っても落ちない。浄化しえぬ不浄。原罪。
やはり迷信深い東欧の農民っぽさがある。
薄い染色になってしまったのは染料であるヤシャブシの量をケチったためかもしれない。シャツ一枚だいたい150-200gかと思うが、80gはさすがに少なかったか。
またかなり着古した古着であったため、付着したたんぱく質などに反応して染めムラが出た可能性もある。うんうんこれも味だね。
ソ連軍スリーピングシャツというものじたいが一過性のトレンドアイテムなのではじめから室内着にしようと思っていた。真っ白だと透けて一枚で着れないし。
これなら汚れても気にならない。なんなら洗っても汚れている。
つねにすでに汚れているシャツ。
純粋現前は古着屋には売っていないのだ。
正直、部屋着としてはかなり気に入っている。
味。